Bスポット治療
慢性上咽頭炎
Bスポット療法(またはEAT療法:上咽頭擦過治療)は慢性上咽頭炎に対する治療法の1つです。慢性上咽頭炎は、鼻とのどの間にある「上咽頭」が慢性的に炎症を起こすことにより、鼻やのどの不調のほか頭痛、肩こり、倦怠感などの様々な症状を引き起こします。また、上咽頭の炎症が病巣となって腎臓・関節・皮膚の疾患を起こすこともあります。慢性上咽頭炎はBスポット療法と呼ばれる上咽頭粘膜をこする治療を行うことで、様々な不快な症状の改善が期待できます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後遺症である嗅覚障害や慢性疲労にも効果が期待されています。
Bスポット療法
炎症の鎮静効果のある塩化鉛溶液を染み込ませた綿棒を鼻や口から直接上咽頭に擦り付け刺激するだけのシンプルな治療法です。Bスポット療法は鼻と口からのどちらでも擦過可能ですが、口からの挿入では吐き気(ウェッとなる)が起こる方も多く、鼻からの擦過だけでも十分効果が期待できますので、当院では鼻腔ファイバーを使いながら「鼻からのみ」擦過を行っております。
治療に際しての注意点は?
(1)塩化亜鉛には患部を収縮させる作用があるため炎症の鎮静に効果的です。
塩化亜鉛の効果によって、治療当日~翌日にかけて、上咽頭の炎症部分の薬物に対する反応性増大によって、症状が一過性に増悪することがあります。この場合、浸出液は飲み込まずに外に吐き出してください。
このような増悪現象は、炎症部分に薬物が反応したという良い証拠と考えられます。治療を継続することによって、このような増悪現象は減り、症状は改善していくと考えられます。
(2)Bスポット療法は、収れん作用によって患部を刺激して炎症の鎮静化を治療です。そのため、上咽頭の炎症が強いほど痛みも強く感じます。
痛みは消毒薬を傷口に塗ったような「しみる」感覚に近く、治療初期では処置後数分~数時間程度痛みが残ることがありますが、次第に落ち着いてきます。
治療を継続することによって上咽頭の炎症が改善すると、次第に治療時の痛みも軽減していきます。
また、処置後の副反応として一時的に鼻水や後鼻漏が増える、頭が重く感じたりする場合もありますが、通常数時間~翌日にかけて治まります。
Bスポット療法の治療期間・通院間隔は?
症状の重症度や罹病期間などで異なります。治療時の綿棒に血がついていたり、点鼻薬をさすとしみるといった上咽頭の炎症が残存する片には週2回、落ち着いている方には1~2週間に1回のBスポット療法をお勧めいたします。